バラの香りに魅せられて

東京に小さな家を建て、小さな庭を持ちました。この庭をどんな風にしましょうか?と造園業者さんと打ち合わせをしてたとき「国際バラとガーデニングショウ」(以下国バラ)に出かけてお庭のサンプルを見てきてください。ということで埼玉県所沢にある西武ドームまで出かけました。21年前の5月でした。

ドームに入場すると大規模なバラのアーチがお出迎えしてくれて、アーチをくぐるとバラの香りに包まれそれはそれは幸せな気持ちになりました。バラの香りの記憶はずっと今も残っています。その時がバラとの出会いの瞬間でした。

数え切れないほどのバラはどの姿も美しく、それぞれが異なる素晴らしい香りを放っていました。庭にバラを植えてみたい、この香りに包まれて生活したい。そう思い、スタッフさんに「このバラが欲しいのですがどこで買えますか?」と尋ね、ローズオブローゼスというお店で売られているイングリッシュローズ「ガートルトジェキル」だということがわかり、すぐにお店で相談をしてジェキルと似合うバラも選んでいただいて、合計3鉢のバラを抱えて帰宅しました。当時ローズオブローゼスでバラを販売されていた、大野耕生さんにはいくつものバラを選んでいただき、いつも丁寧にわかりやすいバラ栽培を教えていただいていました。(のちに大野耕生さんから小学校のバラ園作りのアドバイスもいただきました)

21年前はバラの植え方も育て方もわからず、本を買って読んだり、NHK趣味の園芸を欠かさず見て勉強し、国バラ開催期間中は毎日欠かさず会場に通い、余すことなくバラの知識を吸収しようと夢中でした。
全国から集まった日本を代表するバラのスペシャリストを捕まえては質問をしたり、バラのイベントにも積極的に参加しながら徐々にバラ友も増え、情報交換をしたり楽しいロザリアンライフです。当然バラ苗はどんどん増えていき、今はイングリッシュローズを中心とした約40種のバラを小さな庭で育てています。

そんな素人の私ですが、仏デルバール社のフレンチローズ、河本バラ園などのバラ苗を販売する株式会社花ごころの販売スタッフとして国際バラとガーデニングショウでお仕事をいただけることになりました。ローズコンシェルジュというおしゃれなタイトルをいただき、バラ全般のアドバイスをしながらバラ苗を販売するというお仕事です。
この時、実に多くの方がバラを最初から諦めてしまっているということを知りました。ほとんどのお客様は口を揃えたように「バラって難しいんでしょ?」「お世話とか大変なんでしょ?」「虫がつくとすぐダメになっちゃうんでしょ?」「ベランダじゃ無理よね?」などなど、育ててみたいの無理だとおっしゃってる。そんなことないのに。
バラはそんなに難しくない植物だと思うけれど、いつからどうして難しい植物だと言われはじめているのでしょう?
少しの知識といっぱいの愛情があればバラは育てられます。

ご近所さん、ママ友が私の庭に咲くバラを褒めてくださり「いいな〜!バラやってみたいな。でも私には無理だわ」とほぼ100%そう言います。一緒にバラ苗を選び、植え付け、管理する。年間ポイントだけを教えるだけで、毎年見事な花を咲かせています。この方法ならバラを育てたことがない人でも育てられる。大丈夫なんだ。と、私もだんだん自信がついてきました。


バラを育てるための本はたくさん出版されていますが、本によって書かれていることが異なっていることが気になりました。小山内健先生にその疑問をぶつけると「自分流を作ることだよ」というお答えをいただきました。A先生方式で育てるなら最初から最後までA先生流で貫くこと。A先生のこの部分とB先生のこの部分と・・という具合に自分ができそうなおいしいとこ取りな栽培方では失敗するに決まってるよ。とそんな風におっしゃっていました。あなた流の育て方を確立させてごらんなさい。と、そんなお話をしてくださり、その後実験するように色々なことを試しながらバラ栽培をしています。

2018年に国際バラとガーデニングショウは20年の歴史に幕を下ろします。2019年には日本橋三越屋上「ローズマルシェ」(旧チェルシーガーデン)に参加させていただきました。有島薫先生とはここで初めてご挨拶させていただき、バラをもっと広めたいという思いを伝えると、先生も同じ志をお持ちなのでずっとバラトークが止まりませんでした。

バラの香りには、表情、美肌、ストレス、記憶力などに効果がみられることが立証されています。(日本アロマ環境協会のアロマサイエンス研究所より)

いつもそばにバラがある暮らし。バラの香りで美しく健康な人生。
ロザリアンデビューは思いのほか簡単でシンプルです。
ぜひ「バラのある暮らし」を始めてみてくださいね。

2021.8.8記